【妄想】「オープンあにめプロジェクト」
「たつき監督降板騒動」
実は、この記事を書いている現在、とある深夜アニメが炎上中である。
突然ですが、けものフレンズのアニメから外れる事になりました。ざっくりカドカワさん方面よりのお達しみたいです。すみません、僕もとても残念です
— たつき/irodori (@irodori7) 2017年9月25日
社会的な現象を起こしたアニメ「けものフレンズ」を作った、たつき監督が
なにかしらの理由により降板した(させられた?)らしいのだ。
少なくとも私には、我々ファンの知りようがない、「『クローズドな環境』で企業同士がもめている」ように、感じた。
そのため、はてな増田ダイアリーやTwitterでは、自称関係者による様々な立場から書かれた怪文書が飛び交い、2chなどでは事態の沈静化を計る工作員*1が紛れているという噂が流れる始末。
とにかく、「いったい何がどうなって、アニメの功労者である監督が外されたのか」という意志決定のプロセスが不明だ。
2017年12月25日追記
この「たつき監督降板騒動」について、自分なりにまとめた記事を公開しましたので、こちらも併せて読んでいただけると幸いです。
#たつき監督降板騒動 から思うに、我々の知りようがない遥か雲の上で内ゲバが起きているらしいので、そこら辺も含めてすべてオープンな
— aoven@真空管のフレンズ (@aoven) 2017年9月30日
「オープンあにめプロジェクト」的な企画が生まれたらいいなあと思ったり。
そこで、そういう「クローズドな大人の事情」のせいで大切なアニメ作品が台無しにならないよう、そしてファンも制作に関われるようなアニメを考えた結果、
アニメの企画会議から使用したあらゆるデータまで、なにもかもがオープンな
「オープンあにめプロジェクト」
というのを考えてみたのだ。
想定している作品の規模は「単発作品」で、公開先はYoutubeなどのネット配信を考えている。(後述)
ただし、このプロジェクト構想は、とあるオタクの閃きと妄想であり、物事の正確性などについては、「一切保証しない」。
ライセンスについて
まず最初にコンテンツを、どのようなライセンスで扱うかを考えなければならない。
オープンなライセンスというと、Linuxでよく使われるGPL(GNU General Public License)を真っ先に思い出した。
しかし「基本的に無保証」なため、ビジネス的なトラブルが起きた場合、創作物の責任者がいない。このため、教えてくださったフォロワーさんの経験によると、ビジネス的にとても扱いづらいコンテンツになってしまうそうだ。
他にも「GPL汚染」*2とか色々とあって、とてもオープンソースのライセンスは扱いづらいようだ…。
そこで「クリエイティブコモンズを使うといい」という提案が複数の方からリプライできた。
公式サイトによると、
CCライセンスとはインターネット時代のための新しい著作権ルールで、作品を公開する作者が「この条件を守れば私の作品を自由に使って構いません。」という意思表示をするためのツールです。
だそうだ。
とても長くて複雑なGPLのライセンスとは違って、
一般向けに分かりやすく書かれた「コモンズ証」と法的な裏付けがされた「ライセンス」、検索エンジン用の「メタデータ」の3つが用意されており、
特にコモンズ証は
法律の専門家ではない大多数のインターネットユーザーでもライセンスの主な内容をはっきりと理解することができるようにし、ライセンスの誤用などを防ぐことをねらいとしています。
となっており、ライセンスを利用するにあたって、とても分かりやすくなっている。
しかも公式サイトの「よくある質問」では、インターネット上以外の作品にも適用できるそうだ。
どのCCライセンスがよいか?
キャラクターや世界観を元に、キャラクターグッズや映像作品などを展開(メディアミックス)するとなると、商用利用は避けられない。
また最近ではファンによる二次創作が盛んなので、「けものフレンズ」でも二次創作のガイドラインが設けられている。
そこで、「オープンあにめプロジェクト」にふさわしいCCライセンスは、
原作者のクレジット(氏名、作品タイトルなど)を表示し、改変した場合には元の作品と同じCCライセンス(このライセンス)で公開することを主な条件に、営利目的での二次利用も許可されるCCライセンス。
である。
このライセンスに従うなら、二次創作も含めた様々な活動が許される。
ただ企業が作るコラボ商品は、コピー品が作られる可能性が高い。
企業向けには、CCコモンズとは別の厳しいライセンス*3が別にいるのかもしれない。
CCコモンズは、それを許している。(「私がCCライセンスを付けて公開した作品を、CCとは別のライセンスを付けて公開することはできますか?」)
どうやって企画を進めるか?
ひと集め・カネ集め
まず出資者(スポンサー)は企業だけでなく、クラウドファウンディングで個人からも集める。ついでにアイデアを出してくれる人、技術を持っている人も募集。
クラウドファンディングの成功例として知られるSF映画「アイアンスカイ*4」でも取られた手法だ。
後者はどちらかというと、クラウドソーシングに近いかもしれない。
ただ技術者やクリエイターを集めると、人件費という問題が発生する。
効果音やBGMだけでなく、例えば「けもフレ」や「アルペジオ」のように3DCGを使うアニメだと、動画の制作だけでなく、アニメキャラクターの3Dモデル制作も必要だろう。いったい、どれぐらいの人件費がかかるのか?
ビジネスとして真面目に考えると、決して安くないだろう。
もし、業界に詳しい人が読者の中にいらっしゃったら、コメント欄に相場とか書いていただくと有り難い。
最悪フリー素材に逃げるという手段もあるが、本プロジェクトのCCライセンスとの兼ね合いが難しそうだ。
企画会議
人が集まったら企画会議を行うが、クローズドな環境下での制作や会議では、隠しカメラかマイクでも持ち込むか実名によるリークがないかぎり、冒頭で書いたとおり推測によるデマなどが入り乱れて、第三者による検証ができない。
そこで会議の模様をすべて、TwitCasting(ツイキャス)などのライブ配信で公開。後に文章化して、さらには音声も含め、徹底的に公開する。
ただ気になるのが、どこの段階から人を集めて会議にするかだ。
ゼロから企画するとなると、ものすごく気が遠くなりそうな時間がかかりそうだ。
同人ゲームの場合、「人を集めてから企画を考えます!」ではダメらしい。
どこに公開する?
「けものフレンズ」は、地上波の深夜放送だった。だが今回の企画では、色々な面でテレビ放送は難しいだろう。
そこで筆者が思うには、
- Youtubeに掲載
- AmazonプライムやNetflixのような動画配信サービスで公開
- コミケなどの同人イベントで配布?
ではないかと思う。
先進的な企画は、国内より外資系企業にウケそうだ。スポンサーとしてついてくれるかもしれない。
ただ商用となると、コミケなどの同人イベントは、営利ブースでもないかぎり無理だ。
利益追求の商業と創作表現の同人では差がありすぎる。*5
さてYoutubeに公開する場合、資金を回収するためには広告をつけなければならない。そうなると、見てもらうためには、たつき監督のように「誠実に作る」のが求められる。
作品の内容がお粗末だと、大失敗に終わってしまう。
またイベントなどで売るとなると、「売り上げノルマ」を達成するための根拠が必要らしい。どうやって根拠を出せばいいんだ…。
実際の制作
「オープン」と名前が付いているので、是非ともオープンソースソフトウェアで開発を進めたい。
例えば、
- Photoshopとほぼ同じ機能を持つ「GIMP」
- Illustrator相当の「Inkscape」
- 3DCG編集ソフトウェアの「Blender」
などがある。オープンソースな動画編集ソフトは、聞いたことがないので知らない。誰か教えて欲しい。
ついでにOSも、オープンソースで知られる「Ubuntu」の派生バージョン「Ubuntu Studio」が良さそうだ。マルチメディアの編集に特化されている。
なお数年前にヤオヨロズが作った深夜アニメ「てさぐれ!部活もの」では、3Dキャラクターを任意に操れるMMD(MikuMikuDance)を使って制作されたそうだ。だが、MMDはクローズドソースらしい。
またクリエイターたちがよく使っているiMacやMacbookに搭載されたOS「MacOS(旧名Mac OS X)」は、完全なオープンソースとは言えないらしい。
ここまできて、動画や画像の作成ソフト、更にはOSまでオープンにこだわらなくていいのではないかと、記事を書いていて我ながら思う。
というのも数年ほど昔のこと。オープンソースなDVD作成ソフトを使ってDVDビデオを作ったが、トラブルが多発して使用を断念したことがある。
信頼性の確保とトラブル防止のためには、やはり広く一般的に使われている商用ソフトを使った方がいいかもしれない。
プロジェクトの不安(まとめ)
今から10年以上前のこと、スマホやタブレットが殆ど存在しなかったころの話である。
「オープンあにめプロジェクト」を考案した私と同じように、「企業の方針に反発して、自分たちでオープンなプロダクトを作る」という計画が立ち上がった。
「Morphy One」である。
自分たちで理想的なPDA(携帯情報端末*6)を作ろうとしたのだ。
ハードウェアもオープンソース…という壮大な計画を立てたものの、製品は形にならず大金を吹っ飛ばして大失敗に終わってしまった。
そういう話をネットで知っていた私はゾッとしたのだ。
筆者の妄想も同じパターンではないか、と。
「大企業の方針に反発して、個人の集まりでオープンな事業を行う」
ゼロからのハードウェア開発と違ってハードルは低いかもしれないが、
それでも非常に不安が残った。
商売っていうのは難しいのだなあ…と思った。
まずは同人から始めた方がいいのだろうか…。
最後に、冒頭の「オープンあにめプロジェクト」について、色々とアドバイスして下さった方々に、この場を借りて御礼申し上げします。
また文中で使用したイラストはすべて、「いらすとや」からお借りしました。素敵なイラストありがとうございました。